遠くから誰かを呼ぶ声がします。
あなたの名前を呼んでいるようです。あなたは精いっぱいの声で返事をしました。
いつも挨拶をしているとなりの学生が、自分の様子を見に来てくれたようです。挟まれていて動けない、というと、学生は、消防を連れて来る、と言って走り去ったようです。
それきりなかなかもどってきません。家が余震のたびにきしみ、生きた心地がしません。地震の時間帯は朝食時だった、火災の危険もあるのではないか…。
今になっていろいろな危険が頭をめぐります。あなたは不安で青ざめながら、ただ学生の帰りを待ちました―。