被災ストーリー

【学校/平日の朝/子ども】編

 僕は小学4年生。友だちと話しながら教室に入ってしばらくした時だった。足の下からブルブルっと震えるような感じがして、友達と「おっ、地震だ!」と言いながら、転びそうになるポーズとかをとってふざけていた。女子とかは悲鳴を挙げている子もいたけど、こんなの全然平気だよ・・・と、思った次の瞬間、教室が横に大きく揺れて、僕も友だちも思いっきりよろけて転び、机に頭をぶつけてしまった。ものすごく痛くて、泣きながらその場にうずくまってしまった。
 揺れが収まると先生が来て、泣いている僕に「頭ぶつけたか。腫れてるけど大丈夫だから、少し我慢してなさい」と言われた。でも、友達は泣くこともできないぐらいだった。ぶつけた頭を押さえながら、真っ青になって、立ち上がることもできないぐらいだった。それに比べると、僕のケガなんて大したことなく、泣いていたのがなんだかものすごく恥ずかしかった。
 そのうちみんなでグラウンドに避難し、しばらくそのまま待っているように言われた。友だちは、先生の車ですぐに病院に向かった。
 僕は、グラウンドに建てられたテントの中で、保健の先生に薬とばんそうこうを貼ってもらった。その間に校長先生が、僕と友達がなぜケガしたか、クラスのみんなに聞いたみたいで、「地震のときは、机の下で自分の身を守るって、訓練でやってただろ?1年生だって誰もケガしなかったぞ。友だちもケガしたし・・・」と言われた。やっぱりすごく恥ずかしい気持ちになったし、なんだか友達のケガも僕のせいのような気がしてきた。
 夕方になって、お母さんが迎えに来てくれた。ばんそうこうを見て最初はものすごく心配してくれたけど、先生から話を聞くと、今度は先生に向かって「ご迷惑をかけてすいません」と何度も何度も頭を下げて、そのまま僕の手を引いて、大急ぎで学校を出て行った。
 帰り道で「なんであんただけケガしてるの!先生にも友達にも迷惑かけて・・・」と怒られた。本当にその通りだと思った。
 そのあとで「大したことなくてよかったね」と言ってくれて、安心したけど、最初にふざけていたことをとてもとても後悔した。